猫の耳にある小さなポケット
猫の耳にある小さなポケットについて。
梶井基次郎が「一度切符切りでパチンとやってみたくてたまらなかった」と書いた猫の耳。
梶井のこの文章にぶつかって、「そうそう」とうなずいた猫好きは多いと思う。
薄っぺたくて、触るとひんやりと冷たく、どんな小さな音も聞き逃すまいと、たとえ寝ていてもあたりに注意を配る、絨毛におおわれたアンテナ。
気持ちよさそうに眠る、温かい、動くぬいぐるみを撫でながら、猫好きは激しく思う。
「こいつの耳を切符切りでパチンとやってみたい」と。
「パチン」と、とてもいい音がしそうだし、たとえパチンとやってもあまり痛そうにも思えない。
そこであなたは昼寝をする猫の耳を試しに軽く噛んでみる。
すると、「ニヤオ」と、やっぱり痛がったりするんですね、これが。
「せっかくうまい魚を食べてる夢を見ているところだったのに。
何するんだよ」といった不機嫌そうな顔で。
猫の耳。
その猫の耳の、人間でいえばちょうどイヤリングをするあたりにクリップがひとつ入るくらいの小さなポケットがあるのをご存知でしようか。
これを何というのか。
動物図鑑を見たり、動物関係に詳しい方たちにいろいろあたってみたが、結局、「耳介」(耳たぶ)の一部であるということ以外はわからなかった。
つまり、この部分だけの名前というのはないのです。
動物学者の方々、ぜひこの小さなポケットに名前をつけてください。
「耳ポケット」あるいは「小耳」なんていうのはいかがでしょうか。